2013年10月12日土曜日

砂糖入り飲料 sugar-sweetened beverage (SSB)

砂糖入り飲料(SSB)摂取の肥満への影響が、数々の臨床研究のデータにより示唆されています。

米国において1965年から2002年の間、飲料から得るカロリーは、総摂取カロリーの11.8%から21.0%に増加し、222キロカロリー/人/日となりました。
SSB(ソーダとコーラだけでなく、加糖フルーツドリンク)は、この増加の60%を占め、アルコールは32%、100%フルーツジュースは9%でした。

平均的なアメリカ人の十代の少年や少女は、毎週、それぞれ、22杯、15杯の8オンス(1oz=28.3495g)のSSBを摂取しています。これらのほとんどは自宅での摂取です。

観察研究では、
SSB摂取量と肥満や体重増加との間に正の関連を認めています。

SSB消費削減の対照試験は、
ばらついた結果を示していますが、恐らく様々な介入の影響によるものと思われます。

短期の臨床研究
液体のカロリーは、満腹感が得られにくく、固形の食品と比べて消費カロリーの総量を増加させることが、 示唆されています。

 18ヶ月のダイエット試験の事後解析では、
液体のカロリーの減少が減量に最も強く関連していました。
毎日SSB1杯減らすことで0.65キロ以上の体重減少と関連していました。

コホート研究では、
SSBをより多く摂取することは、糖尿病とメタボリックシンドロームの発症率上昇の予測因子でした。
SSBの摂取はまた冠動脈疾患発症と関連しています。


2013年10月2日水曜日

コーヒーとお茶

カフェインのサプリメントは、

- 血圧上昇
- インスリン感受性悪化
- 耐糖能悪化

を来します。

でも、コーヒーにより同量のカフェインを摂取しても、その影響は少ないです。

他の要素により相殺されていることが示唆されます。


21の前向きコホートの結果では、

コーヒーの使用と冠動脈疾患のリスクとの間に有意な関連は示されていません。


コーヒーの頻回な摂取(毎日4杯以上)は糖尿病発症率低下と関連します。


が、この根拠は未だ確立されていません。


緑茶の摂取は

体重減量と体重維持に有用であることが示唆されています。

内皮機能、血圧、コレステロール値に対する効果は一貫していません。

お茶摂取と冠動脈疾患の観察研究は一貫性のある効果は示されていません。

お茶の頻回な摂取(毎日3杯以上)脳卒中と糖尿病の中等度リスク低下と関連します。


 観察研究が多く、またばらつきのある結果、生理学的な根拠が不明確、などにより、

現在のところ、コーヒーやお茶の心臓血管疾患への影響については決定的な結論はでていません。

2013年9月22日日曜日

アルコール

習慣的な大量飲酒は、多くの国で、非虚血性拡張型心筋症の原因の三分の一にまで達します。

心室機能障害は、飲酒を中止しても、しばしば不可逆的であり、飲酒を継続すると高い死亡率につながります。

常習的飲酒とどんちゃん騒ぎは心房細動のリスクを高める可能性があり、

時に「ホリデーハート症候群」と呼ばれます。

非飲酒者に比し、

定期的な中等度の飲酒、男性2ドリンク/日まで、女性1ドリンク/日まで、

は冠動脈疾患と糖尿病の発生率低下と関連しています。

 これらの観察研究では、健康不良のために禁酒した元飲酒者が非飲酒者に含まれているため、過大評価されているかもしれません。

 それにもかかわらず、一貫してリスク低下が観察されることは、対照試験におけるアルコールのHDL-Cおよびインスリン抵抗性への好影響と、適度なアルコール摂取の僅かながらの心血管代謝への好影響によるものと思われます。

ドリンクの種類間(例えば、ワイン、ビール、お酒)での有意な相違は認められませんが、飲酒パターンは重要で、不規則な飲酒やどんちゃん騒ぎの飲酒よりも、定期的に適度な量を飲む人にお最大の利点が認められます。

アルコール関連の事故、殺人、自殺の頻度が、特に若い成人で高いため、アルコール使用は、総合的には人口の死亡率に悪影響を及ぼします。
したがって、心臓血管疾患リスクを軽減するための手段としてはお勧めできませんが、すでに飲酒している大人は、心血管リスクの観点から適度に継続することは悪くありません。

2013年9月18日水曜日

乳製品



「乳製品の生物学的影響はまだ良くわかっていません。

牛乳や乳製品を摂取すると

糞便内の脂肪分は増加しますが、

満腹感と体重減少への影響は一貫性がありません。

DASH(高血圧を停止する栄養アプローチ)の食事パターンは低脂肪乳製品を含みます。

- 血圧
- 脂質レベル
- インスリン抵抗性
- 内皮機能

を改善しますが、乳製品の単独の効果については不明です。

長期観察研究では

乳製品の消費は、

- 冠動脈疾患
- 脳卒中
- 糖尿病
- メタボリックシンドローム

のリスク低下と関連しています。

全体的に、乳製品は心血管リスクへ好影響を及ぼしているようですが、

具体的な活性成分は確立されていません。

カルシウムおよびリノール酸は、潜在的なメディエーターとして挙げられていますが、

それぞれの実験的研究は、危険因子に殆どあるいは全く影響を示してません。




全脂肪の乳製品に対する低脂肪の乳製品の異なる効果も不明です。

低脂肪の乳製品は、現在、低い飽和脂肪酸と低カロリーにより推奨されていますが、

そのメリットは、生理活性脂肪酸への関連に限られるのであれば、全脂肪乳製品が同等か、より有益です。

低脂肪乳と全脂肪乳を直接比較した研究は殆どありません。

 45人の若い健康なボランティアの試験では8週間毎日3.5杯の低脂肪または全脂肪乳製品(牛乳、ヨーグルト)を摂取したところ、

血圧に対しては同様の効果が見られましたが、

全脂肪乳製品群が1.2キロ以上の体重増加を認めました。

特定乳製品(例えば、牛乳、チーズ、バター)の影響は、さらに調査が必要です

例えば、3つの対照試験では、チーズが同量のバターと比較し、

総コレステロール、LDLコレステロールの上昇をより少なく抑えていました。 」

2013年9月17日火曜日

「SFA(飽和脂肪酸)とコレステロールが含有しているため、

肉の消費は、心血管リスクを高める

と考えられています。

肉食の総量と冠動脈疾患・糖尿病発症との関係は、様々ですが、

有意ではないながら概ねリスクを高める傾向にあります。

 肉の種類で個別に評価されている場合、

未処理の赤肉ではなく、

加工肉の摂取は一貫して心血管疾患と糖尿病のリスクを上昇させます。


これらの知見は、肉の種類により、心疾患への影響が異なっていることを示唆しています。

- 様々な防腐剤の使用(例えば、ナトリウム、ニトリル)
- 製造方法(例えば、フライ、商業調理)
- 特定の脂肪酸やヘム鉄といった成分

などと関連しているのかもしれません。

肉の摂取と脳卒中の関連を報告した研究は殆どなく、結論は出ていません。」

2013年9月16日月曜日

「魚摂取量と心血管疾患イベントの関連は、他のどの食材より多くの前向きコホート研究で報告されています。

心血管疾患死亡に対しての有効性が最も強く、

週1回の摂取で15%、

週2〜4回で23%、

週5回以上で38%リスクが低下します。

 栄養素として不飽和脂肪、セレン、及びビタミンDが含まれていますが、心血管疾患による死亡の予防には、主に魚中のn-3 PUFAが関連していると思われます。


米国、欧州、中国、日本の16の前向きコホートのプール解析では、 

魚から250mg /日のEPAとDHAを摂取することが、冠動脈疾患による死亡率の36%低下と関連していました。



また、5つの大規模な無作為化比較試験のうち4つで、魚や魚油の摂取により冠動脈疾患イベントの減少を示していました。


魚の消費が

非致死的心筋梗塞
虚血性脳卒中
心房細動

のリスク低下とも関連していますが、比較対照試験では、まだこれらの利点は確立していません。


魚の摂取は、高頻度の糖尿病診断のと関連していました(1回/月未満と比し、5回以上/週で22%高い)。

n-3 PUFAは肝遺伝子(例えば、PPAR-α、SREBP-1)を調節してグルコースの生成を高め、高インスリン血症を減少させます。末梢のインスリン抵抗性や代謝障害を引き起こすことはありません。

魚やn-3系PUFAは、他の代謝性リスク(例えば、中性脂肪、血圧、炎症)を改善します。

消費された魚の種類や調製方法は血中EPAとDHAのレベルや心血管疾患への効果に影響を与えますが、油で揚げていない魚(dark meat)からの利益が最大で、他の種よりも10倍以上のn-3 PUFAが含まれています。

 いくつかの魚種におけるメチル水銀の冠動脈疾患への影響のエビデンスは限られており、議論の余地があります。副作用が発生した場合、魚摂取の冠動脈疾患への有効性を減ずるかもしれません。」

2013年9月12日木曜日

豆類


「豆類の心血管疾患への影響は十分には明らかになっていません。

大豆食品の試験では、

収縮期血圧 -5.8mmHg

拡張期血圧   -4.0mmHg

と、有意ではありませんが各々、低下する傾向を示しました。


抽出された大豆タンパクやイソフラボン(植物性エストロゲン)の効果はより小さく、

LDLコレステロール -3%

拡張期血圧      -2mmHg

の僅かな効果にとどまっています。

豆類は、

- 微量栄養素

- ファイトケミカル(植物化学物質)

- 繊維

を含んでおり、これらは心血管疾患や糖尿病を軽減させているかもしれません。

この仮説は、比較介入試験や長期コホートにおいてさらなる評価が必要です」

2013年9月7日土曜日

ナッツ


前向きコホートで、

適量のナッツは、冠動脈疾患発症率低下と関連しています。

以下の成分の影響が考えられます。

- 不飽和脂肪
- 植物性タンパク質
- 繊維
- 葉酸
- ミネラル類
- トコフェロール
- フェノール化合物

横断観察研究と対照試験では、

ナッツの摂取は、

- 総コレステロール低下
- LDLコレステロール低下

と関連し、

酸化、炎症、および内皮マーカーを改善させます。


観察研究

ナッツの摂取は、BMI低下と関連し、

介入試験においても


体重減少と関連しています。


これらの試験の一貫して、冠動脈疾患のリスク低下を支持する結果です。

ナッツの各種類の効果に関しては、さらなる研究が必要です。」

2013年8月31日土曜日

全粒穀物と精製穀物

「全粒穀物は、

- 胚乳
- ふすま
- 胚芽

が含まれます。

精製穀物は、それらが除かれ、概ねデンプン質胚乳(複合糖質)となります。


ふすまは、以下を含みます。

- 繊維
- ビタミンB群
- ミネラル
- フラボノイド
- トコフェロール

胚芽は、以下を含みます。

- 数多くの抗酸化物質
- ファイトケミカル(植物化学物質)



全粒穀物の摂取は一貫して冠動脈疾患、糖尿病のリスクを低下と関連し、おそらく脳卒中とも関連しています。
全粒穀物の摂取はグルコース-インスリン恒常性、内皮機能、およびおそらく体重減少および炎症を改善することが示されています。
全粒の燕麦は、LDL-Cを低下させます。

どの単一栄養素がこのメリットをもたらしているのかは明らかではありません。複数の成分の相乗効果かもしれません。

精製穀物食品(例えば、白パン、白米)は心血管疾患発症との関連を認めていませんが、冠動脈疾患のリスク、糖尿病のリスク上昇と関連しています。

このリスク上昇が、全粒穀物、果物、野菜の相対的減少によるものか、または、食後血糖インスリン、内皮および炎症反応の悪影響に関連しているかどうか、不明です。

全粒穀物、果物、野菜に置き換え、精製穀物摂取の頻度と1回量を制限するのが賢明と思われます。」

2013年8月24日土曜日

果物・野菜



果物と野菜の摂取は、一貫して冠動脈疾患発症率低下と関連しています。

果物の摂取は脳卒中のリスク低下と関連し、

果物の食物繊維は糖尿病発症低下と関連しています。

2年間継続された対照試験では、

果物と野菜の摂取を推奨した食生活が、以下の心血管リスク因子を改善しました。

- 血圧
- 脂質レベル
- インスリン抵抗性
- 炎症
- 肥満
- 内皮機能

複数の試験では、果物や野菜の摂取の利点は、同量のカリウム・マグネシウムおよび食物繊維のサプリメントで賄うことはできませんでした。

食事の主要栄養素(脂肪、タンパク質、ま炭水化物)にも依存しないものでした。

 果物・野菜の効果が、不健康な食事の代わりというだけでなく、

微量栄養素、ファイトケミカル、食物繊維が複雑に統合されてもたらされていることが示唆されました。

これらの研究は、果物や野菜の摂取が心臓血管疾患のリスクを下げる、という説得力のある証拠を示しています。

特定の果物や野菜の有効性、100%のジュースの有効性に関しては、さらなる研究が必要です。」


最近は、フルーツの大動脈瘤予防効果の論文が出てましたねー。

http://circ.ahajournals.org/content/128/8/795.full

2013年8月23日金曜日

タンパク質


短期的な試験では、

炭水化物の代わりに、タンパク質を摂取すると、

- 血圧
- 中性脂肪
- LDLコレステロール
- 血糖

が改善します。




 安定した体重下では、

不飽和脂肪酸の代わりに高タンパク質を摂取すると、

HDLコレステロール

が低下します。



総タンパク摂取と冠動脈疾患のイベントとの関連を報告している前向きコホート試験は殆どなく、

明確な結果は出ていません。



いくつかの研究で、

動物性タンパクではなく植物性タンパクが冠動脈疾患リスクの低下と関連が示されています。

タンパク質自体よりも、食品全体や食事パターン全体が、より関連性が高い可能性が示唆されています。


4つのコホート研究では、

動物性タンパク質の摂取と出血性脳卒中のリスク低減の関連が示されましたが、この関連についてはさらなる研究が必要です。

2013年8月18日日曜日

食事性コレステロール

「食事性コレステロール

食事でコレステロールを摂取することにより、LDLコレステロールとHDLコレステロールの両方が上昇します。
コレステロール100mgを摂取することにより、総コレステロール対HDL-C比(TC/HDL-C)が0.02 上昇します。

動物実験では、

食事性コレステロールは、アテローム形成を促します。

長期の前向き研究では、

食事性コレステロール或いは具体的食材(例えば、卵、甲殻類)と心臓血管疾患リスクの有意な関連は示唆されませんでした。

一方で、より高いコレステロール、卵、甲殻類の摂取は、
5つのコホート研究で、

高い糖尿病発症率と関連することが示唆されています。

3つのコホート研究

糖尿病患者において心臓血管疾患リスク上昇と関連することが示唆されています。


食事性コレステロール、糖尿病の感受性、心臓血管疾患の間の強い相互作用の存在が示唆され、更なる研究が必要です。」

2013年8月17日土曜日

トランス脂肪酸(TFA)

「トランス脂肪酸(TFA)

TFAはトランス型の二重結合を少なくとも1つ有する不飽和脂肪です。

焼き菓子、揚げ物食品、スナック菓子、家庭料理用ショートニングなど、水素が添加された油で作られた食品に含まれます。

反芻動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ)の肉やミルクにも、腸内微生物によって少量のTFAが含まれています。
水素が添加されたTFAと比較して、反芻動物由来の低レベルのTFA(<0 .5="" span="">

 大量のTFA摂取は、脂質代謝に明らかに悪影響を及ぼし、以下のような変化を認めます。

- LDLコレステロール上昇
- 中性脂肪上昇
- リポタンパク(a)上昇
- HDLコレステロール 低下
- 総コレステロール / HDコレステロール(TC/HDL-C)比 上昇
- アポB/AI比 上昇

対照試験において、SFA、MUFAあるいはPUFAの代わりにTFAを1%E摂取することで、以下の変化を認めます。

- TC/HDL-C比:各々0.031、0.054、0.67 上昇
- アポB:各々3.5、10.0、10.9mg/L 上昇
- リポ蛋白(a):各々3.8, 1.4, 1.1 mg/L上昇
- アポA-I: 各々7.0, 5.3, 5.3mg/L 低下


対照試験、観察研究、動物実験の結果に基づくと、

TFAは、以下を助長する可能性があります。

- 炎症
- 内皮機能不全
- インスリン抵抗性
- 内臓脂肪
- 不整脈

 これらの脂質以外への影響についてのエビデンスの強さにばらつきはありますが、関与する経路は、脂肪細胞の機能不全とインスリン抵抗性に及ぼす影響の範疇であることが示唆されています。

前向きコホートでは、

少量のTFA摂取(例えば、2%E)が、冠動脈疾患と突然死のリスク上昇と関連していました。

 数多くのTFAが存在し、由来となる食事や生物学や生理学的効果が様々です。 18 - 炭素TFA、特にトランス18:2異性体が最も悪影響が強いことが示唆されています。」

2013年8月16日金曜日

エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)

「エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)

比較対照試験は、以下において、海産物由来ののn-3 PUFAの明確な効果を実証しています。

- 心拍数
- 血圧
- 中性脂肪レベル
- 心室拡張能と効率性
- 炎症反応
- 内皮機能
- 自律神経機能
- 尿蛋白

 植込み型除細動器(ICD)患者における再発性心室性不整脈の予防に関する試験では明らかな有効性は示されていません。

 観察研究と臨床試験のメタ分析では、長鎖n-3系PUFAは、冠動脈疾患イベント(心筋梗塞や狭心症)、特に致命的イベント・不整脈死を減らすことが、一貫して示されています。
それは、犬と霊長類モデルの虚血誘発性心室細動の予防実験もデータとも一致してします。

5つの大規模ランダム化比較試験のうち4つで、魚や魚油の摂取が冠動脈疾患イベントの有意な減少を示しています。

無作為化試験のメタ分析では、魚油サプリメントは総死亡率を17%減少(RR, 0.83; 95% CI, 0.68 to 1.00; P = 0.046)させたました。これらの試験の対象は概ね高リスク患者であり、虚血性不整脈の低リスク患者においてはその総死亡率低減への有効性はより低いかもしれません。

冠動脈死予防の用量と効果の関係は非線形であるように見え、EPAとDHAの総量約250mg/ 日で十分な効果が得られ、それ以上は効果が減少します。

 観察研究では、以下のようなエンドポイントで有効性が示唆されています。

- 非致死的心筋梗塞
- 虚血性脳卒中
- 心房細動


しかし、介入試験では、これらの効果は確立されていません。

スタチンにより加療されている高コレステロール血症の日本人18645人を対象とした無作為化オープンラベル試験では、 EPA製剤の追加(1.8 g /日を4.6年間)することで、非致死的冠動脈イベントが19%減少(P = 0.01)しました。

ほとんどの研究は、EPAとDHAを合計摂取量を評価しています。

EPAとDHAの独立した効果に関してはデータが不十分です。」

2013年8月14日水曜日

α-リノレン酸(ALA)


α-リノレン酸 ALPHA-LINOLEIC ACID

αリノール酸?とは言わないのだろうか?


「いくつかの対照試験では、

ALA摂取は、

- 血小板機能
- 炎症、内皮機能
- 動脈コンプライアンス

を介して、心臓血管疾患のリスクマーカーに好影響を与えています。
14の試験のメタ解析では、フィブリノゲンと空腹時血糖値の改善を認めました。

このような効果が、ALAまたはその長鎖代謝産物(例えば、EPA)によって直接引き起こされているかどうかは不明です。

生態学的研究では、

n-3 PUFA摂取量が低い集団において、ALA摂取増量の利点が示唆されています。

前向きコホートでは、

ALA摂取と冠動脈疾患発症の間の有意な関連は認めず、まちまちな結果を示しています。


1960年代の試験ではALAの補充と冠動脈疾患発症イベントの有意な関連を認めませんでしたが、フォローアップは、1年間に限定されていました。


冠動脈疾患発症におけるALA摂取の影響を調べた試験は現在いくつかの試験が計画中、または進行中ですが、これまでには他に報告はありません。

ALAがn-3 PUFAの供給源として摂取可能で安価であるため、その効果をよりよく理解することが重要です。」

2013年8月6日火曜日

多価不飽和脂肪酸(PUFAs)

多価不飽和脂肪酸

食餌のPUFAsは、
n-6 PUFA: - リノール酸(LA; 18:2 n-6); 植物油由来
n-3 PUFA: - αリノール酸(ALA; 18:3n-3) ; 植物由来(例 亜麻仁,キャノーラ,クルミ,大豆)
       - エイコサペンタエン酸(EPA, 20:5n-3) ;魚介類由来
                - ドコサヘキサエン酸 (DHA; 22:6n-3) ; 魚介類由来

LAとALAは、人体では生成することができない必須脂肪酸です。
EPAやDHAも人体では殆ど生成できませんので、魚介類摂食が主な供給源となります。 
n-3系脂肪酸とn-6の比で表現されることがしばしばありますが、これらの食事に含有する脂肪の消費量の絶対値に比較して健康への影響の有用な測定基準とはなっていません。



リノール酸(LINOLEIC ACID; LA)


LAは、典型的には90%以上食物のPUFAにより摂取されます。

炭水化物と比較して、LAはは以下の作用があります。

- LDLコレステロール低下
- 中性脂肪低下
- HDLコレステロール上昇
- TC/HDLコレステロール 改善

他の冠動脈疾患リスクマーカーへの影響はあまり確立されていません。
いくつかの試験では、LAは、抗炎症作用やインスリン抵抗性改善作用を有していることが示唆されていますが、報告は様々です。

11のコホート研究の解析では、
SFAの代わりにPUFAを多く摂取すると、
➡ 冠動脈疾患発症のリスクが有意に低下します (5%E毎, RR = 0.87, 95% CI = 0.77 to 0.97).

炭水化物の代わりにPUFAを摂取すると、
➡  冠動脈疾患リスクが低下します 

炭水化物の代わりにPUFA或はLAを摂取すると(ランダム化試験のメタアナリシス)
➡ 観察研究の結果と同様、冠動脈疾患の減少させました。


炭水化物やMUFAsの代わりにPUFAを摂取することで冠動脈疾患発症のリスクを低下させるかどうかを調べた研究は施行されていません。

全体的に言えば、SFAまたは炭水化物の代わりに、PUFAまたはLAを摂取することで、冠動脈疾患リスクを低下します。

2013年8月3日土曜日

一価不飽和脂肪酸(MUFAs)

一価不飽和脂肪酸(MUFAs)

「動物性脂肪と植物油(例えば、オリーブ油やキャノーラ油)はMUFAsの主要な原料であり、多くがオレイン酸(18:1n-9)です。

炭水化物に比し、MUFA摂取は

- LDL-コレステロール 低下
- 中性脂肪 低下
- HDL-コレステロール 上昇
- 血圧 低下

させます。

SFAに比し、MUFA摂取は

- 中性脂肪 変化なし
- HDL-コレステロール 変化なし 
- LDL-コレステロール 低下
- リポ蛋白質(a) 上昇

させます。

MUFAsとPUFAを比較した試験は殆どありません。
炭水化物の代わりに摂取した場合、MUFAsはPUFAsに比し、

- HDLコレステロールを僅かに上昇
- LDLコレステロールと中性脂肪を僅かに低下
- TC/HDL比の改善は概ね同程度です。


糖尿病とMUFAs:報告は様々

- 4つの大規模な前向きコホート:MUFA摂取と糖尿病発症の間には関連は認められませんでした。

冠動脈疾患発症とMUFAs:前向き試験は比較的少なく、報告は様々
- 11のコホートからプールされた解析
同カロリーのSFAの代替としてMUFAを摂取することは、冠動脈疾患のリスク上昇と関連していました(各5%E、RR = 1.19, 95%CI= 1.00〜1.42 )。

- ヒト以外の霊長類では、SFAとMUFAの摂取では、共に同様にアテローム形成が認められました。

- 冠動脈疾患発症とMUFAの関連性を検証した無作為化比較試験は施行されていません。

- 動物実験
MUFAsはLDL-C粒子組成物を変化させ、コレステリルオレイン酸含有量を増加させ、アテロームを増加させることが示唆されています。

これにより、なぜMUFAsがLDL-C濃度を低下させ、TC / HDL-C比を改善させますが、冠動脈疾患のリスクを低下させないかを説明することができます。

- 観察研究とランダム化試験
地中海型食事の一部としてオリーブオイルによりMUFAs含む食事パターンは、冠動脈疾患の危険因子を改善させ、冠動脈疾患イベントを軽減させることが示されています。
 それらの利点が、MUFAs自体の効果か、オリーブオイルの他の組成(例;エキストラバージンオリーブオイルのポリフェノール)の効果か、または地中海型食事パターンの他の要因の効果からもたらされたのかどうかは不明です。」

MUFAは、一概に良いとは言えないんですね。

2013年8月1日木曜日

脂肪酸と糖尿病、血圧、脳卒中


インスリン抵抗性を有する患者に対し、


6つの対照試験で、飽和脂肪酸(SFA)とその代替となる栄養素のグルコースインスリンホメオスターシスへの影響を評価しました。

- SFAを一価不飽和脂肪酸(MUFAs)に変更した場合にグルコースインスリンバイオマーカーの改善を認めました。(5研究中3つ)
- SFAを多価不飽和脂肪酸(PUFAs)に変更した場合に、同改善を認めました。(3研究中1つ)
- SFAを炭水化物に変更した 場合に、同改善を認めました。(1研究)
- SFAをトランス脂肪酸(TFAs)に変更した場合、改善しませんでした。(2研究)

一般健常者に対し、


4つの対照試験で、同様の影響を評価しました。


- SFAをMUFAsに変更した場合に改善を認めました。(4研究中1つ)
- SFAを炭水化物に変更した場合に、同改善を認めました。(2研究中1つ)
- SFAをPUFAs或はTFAsに変更した場合、改善を認めませんでした。(1研究)

これらの混沌とした知見からは、グルコースインスリン代謝に及ぼす食餌性脂肪の影響に関し、確たる結論が得られませんでした。
その中でも最も信頼し得ることは、


インスリン抵抗性を有する患者において、SFAをMUFAsに変更したときに大きな改善を認める

ということです。



観察研究において、

血中または組織SFAバイオマーカーはインスリン抵抗性と関連がありますが、内因性のSFAレベルは、SFAと炭水化物の摂取の双方により増加し、脂肪分解、脂質生成、及びβ酸化によっても影響を受けました。

WHI試験において、

SFAの摂取量を減らしても、HOMA-IRまたは糖尿病発症に影響はありませんでした。

食物中の脂肪と糖尿病発症を評価した4つの大規模な前向きコホートにおいて、

SFAまたはMUFA摂取と糖尿病の間に独立した関連は認められませんでした。



対照的に、4つのコホート全てにおいて、


PUFA、植物油、および/またはSFA摂取に対するPUFAの比は、糖尿病発症を抑制する傾向を認めました。

これらの結果は、冠動脈疾患に対する関係と同様に、糖尿病に対する保護効果が、PUFAに認められることを示します。


血圧や脳卒中に対するSFAの影響のエビデンスは限られています。
いくつかのコホートでは、SFAをより多く摂取することで、脳卒中のリスク(全脳卒中、虚血性、出血性) が低下することが観察されています。
動物性脂肪やタンパク質の他の栄養素との関わり、独立性に関し、さらなる研究が必要です。」




かなりざっくり言うと、

飽和脂肪酸(SFA)より不飽和脂肪酸(PUFA,MUFA)は糖尿病にいいかもしれない。

でも、飽和脂肪酸(SFA)で脳卒中リスクが低下するかもしれない。

2013年7月31日水曜日

飽和脂肪酸 3

Braunwald著 Heart Disease(約2000ページある分厚い本です)の

Part 6 Preventive Cardiology

CHAPTER 48 - Nutrition and Cardiovascular Disease

をのーんびり読んでいます。




今日は、飽和脂肪酸(SFA)の続き。。。

「これらの結果(昨日の記事)は、

心臓血管疾患のリスク因子に関する多価不飽和脂肪酸(PUFAs)の好ましい効果と併せ、

- SFAや炭水化物(後述)の代わりにPUFAを摂取することは有益である
- SFAの代わりに炭水化物を摂取することはほとんど利益が無いか、或いは僅かに有害な可能性がある

ことが示唆されます。

炭水化物の効果のデータによれば、この後者に関しては、炭水化物の質や個人のインスリン抵抗性の程度に影響されることが示唆されています。

確かに、最近のコホートは、SFA摂取は、

- 高GI(高度に精製された)炭水化物に比し、冠動脈疾患のリスクを有意に低下
- 中等度GI炭水化物に比し、同様の冠動脈疾患リスク
- 低GI炭水化物に比し、冠動脈疾患リスクが高い傾向

を示しました。

SFAの代わりに MUFAsを摂取ことの、冠動脈疾患への影響には様々な報告があります(後述)。

このように、SFA摂取を制限しても、必ずしも冠動脈疾患の予防効果が得られるわけではありません。
PUFAを増加させたり、全体的な食事の質(後述)を改善させることも考慮しなければいけません。」


一概に、油もの(脂肪)は身体に良くない、甘いもの(炭水化物)は身体に良くない、という訳ではありません。

脂肪も炭水化物も、その”質”を考えることが重要です。

飽和脂肪酸 2

「リスクマーカーの矛盾した結果に対し、疾患をエンドポイントとした前向きコホート、前向き試験が総合的な臨床効果として良きエビデンスを生み出すことが期待されます。

WHI試験

飽和脂肪酸(SFA)を主に炭水化物に置き換えることにより、そのの摂取量を約12.5〜9%E減少させても、

- 冠動脈疾患(RR0.98)
- 脳卒中(RR1.02)
- 総心臓血管病発症(RR0.98)

の発症頻度への影響はありませんでした。

2つの系統的レビューと前向きコホート研究のメタアナリシス

SFAの摂取と冠動脈疾患の頻度の有意な関連は認められませんでした。

これら三つの大規模研究では、

冠動脈疾患発症とSFA摂取の臨床的な関連は全く示されませんでした。



米国、ヨーロッパ、イスラエルの11の前向きコホート
 344,696人もの男女の個人レベルのデータの解析によると、

SFAの冠動脈疾患への影響は、代わりの栄養素次第であることが示唆されています。

その他複数の臨床試験
炭水化物の代わりにSFAを摂取:冠動脈疾患のリスク低下と関連(各5%E、RR =0.93、95%CI=0.88〜0.99)

多価不飽和脂肪酸(PUFAs)の代わりにSFAを摂取冠動脈疾患のリスク上昇と関連

SFAの代わりに一価不飽和脂肪酸(MUFAs)を摂取:結論出ず(研究精度の限界)
SFAの代わりにMUFAsを摂取:研究なし  」


動脈硬化への影響は相対的には概ねこんな感じか。

 PUFA>SFA>or=炭水化物
←良い      悪い→

2013年7月29日月曜日

今日の昼ご飯


今日の昼ご飯。プチトマト大盛り。アボカドも大きめ。勿論布施メソッドで笑。



2013年7月28日日曜日

飽和脂肪酸 (SFA:Saturated Fatty Acids)


- 肉類
- 乳製品
- 熱帯のオイル(例えば、パーム、ココナッツ)

は、飽和脂肪酸(SFA)の主要な原料です。

生態比較、LDLコレステロールへの効果、および動物実験の結果に基づくと、SFA摂取は冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)発症のリスクを増大させることが予想されます。

例えば、炭水化物の代わりに同カロリーのSFAを摂取する場合、SFA摂取が1%E増えるたびにLDLコレステロールが1.24mg/dl 増加します。

しかし、SFA摂取が悪影響を及ぼすという話は、これまで言われてきた程、単純ではないことが示されてきています。

ラウリン酸(12:0)
ミリスチン酸(14:0)
パルミチン酸(16:0)

は炭水化物と比べてLDLコレステロールを上昇させます。

ステアリン酸(18:0)

は上昇させません。

さらに重要なことは、食事には様々な要素が混在しており、複数の経路を介して慢性疾患に影響を与えるため、任意の単一のリスクマーカーへの影響が病気の発生率に直接影響していると推定することはできません。

たとえば、上記ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸としては、炭水化物に比べLDLコレステロールを上昇させますが、一方で、中性脂肪を低下させ、HDLコレステロールと、アポリポタンパクA-I(apoAI)の値を上昇させます。

一価不飽和脂肪酸(MUFAs)や炭水化物の代わりに、SFAを摂取するとリポタンパク(a)は低下します。

複数の種類の脂質とリポタンパクが複雑に変化する状況では、総合的な脂質リスクマーカーとしての影響を考慮することがが最も重要かもしれません。

炭水化物の代わりに下記を摂取し、摂取量(%E)とTC / HDL-C比の相関を調べました。

ミリスチン酸、パルミチン酸:TC / HDL-C比は不変(-0.003; P = 0.83)(0.005P = 0.43)
ステアリン酸:TC / HDL-C比は有意差がないながら減少(-0.013P = 0.12)
ラウリン酸:TC / HDL-C比は有意に減少(-0.037; P<0.0001)

これらは、炭水化物に比べてSFAは、冠動脈疾患に対し僅かに予防効果があることを示唆しています。」



糖質よりも、脂質が動脈硬化に悪い、というイメージがありますが、むしろ、糖質のほうが悪い、、、、ということが示唆されるということですね。

2013年7月27日土曜日

脂肪の種類

総脂肪の摂取によるエネルギー量が健康へ与える影響は限定的です。

一方で、総脂肪中のある種の特異的脂肪の摂取量を、他の脂肪または炭水化物の代わりに増量・減量することは、健康へ明らかな影響を及ぼします。

脂肪類の命名方法は、主に以下にように表現されてきました。

- 伝統的に幅広い化学物質の分類:不飽和度(例:多価不飽和、不飽和、飽和)
- 二重結合の種類による分類:(例:オメガ(n)-3、オメガ(n)-6 )


このようなグループ化は、各々の原料となる食事や、個々の脂肪酸の生物学的効果の違いを不明瞭にしてしまいます。それらは、以下の点で特異的な効果を有しているのです。

- 遺伝子転写
- 細胞膜の流動性
- 細胞膜の機能
- 生成代謝物

これらの生物学的特性の相違を解明することにより、臨床および公衆衛生において個々の脂肪酸の種類と量に焦点を当てる必要がでてきます。この章では、従来のグループだけでなく、個々の脂肪酸が有する効果にも注目していきます。」

2013年7月26日金曜日

総脂肪と脳卒中・糖尿病

Braunwald抄読会の続きです。

「総脂肪摂取量と脳卒中の関連についてのエビデンスは様々なものが混在しています。
長期的な観察研究では有意な関連がないか、或いは逆相関(防護的、即ち総脂肪摂取が増えると脳卒中が減る)する結果となっています。
その防護的作用が本質的に総脂肪の摂取と関連しているのか、または他の栄養素(例えば、脳卒中リスク低減作用を有する可能性のある動物性タンパク質または飽和脂肪)と関連しているのかは明らかではありません。
WHI試験では、少なくとも24%〜38%Eの範囲内の総脂肪摂取は、女性における脳卒中発症にほとんど影響を与えていないという結果が示されています。


また、低脂肪食が、糖尿病発症を予防したり、血糖コントロールを改善するというエビデンスはほとんどありません。
前向きコホート研究では、総脂肪摂取と糖尿病発症の関連は見いだされていません。

WHI試験では、8.1年以上の経過で、総脂肪の少ない食事は、1.9kgの体重減を認めましたが、インスリン抵抗性の評価指標(HOMA-IR)または糖尿病発症に影響を及ぼしませんでした(RR0.96, 95%CI 0.9-1.03)。
事後の分析では、よく遵守した女性においてごくわずかに糖尿病発症頻度が低下した(P =0.04)ことが示唆されています。しかし、コンプライアンスを決定する他の要因がその結果のバイアスになっているかもしれません。

総脂肪の%Eが減量又は過体重又は肥満にほとんど影響を及ぼさないことを示唆するエビデンスも出てきています。」

2013年7月25日木曜日

朝食と心臓病

多忙な現代人は朝食をスキップしてしまうことが多々あります。Circulationという心臓の専門雑誌に、朝食と冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症といった心臓病)との関連を調べた論文が発表されてたようです。まだ本文読んでおらずアブストラクトのみしか確認していません。
結論は、男性では、朝食は食べた方が冠動脈疾患のリスクが低下するとのこと。
無料でフルテキストを読めるみたいです。

Circulation.2013; 128: 337-343


背景
成人において、食事をスキップすることは、体重増加、高血圧、インスリン抵抗性、空腹時脂質濃度上昇と関連します。
しかしながら、食事内容にかかわらず、特定の食習慣が冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)のリスクに影響するかどうかは分かっていません。本研究の目的は、食生活と冠動脈疾患のリスクを前向きに検討することです。

方法と結果
朝食を食べることを含む食習慣について、1992年に45歳から82歳のアメリカ人男性26,902人を評価しました。彼らは、Health Professionals Follow-up Study に参加しており、心血管系疾患や悪性腫瘍には罹患していませんでした。フォローアップの16年間に、1527もの冠動脈疾患発症が診断されました。 人口統計、食事、ライフスタイルで調整した冠動脈疾患、およびその他の冠動脈疾患の危険因子の相対リスクおよび95%信頼区間を推定するためにCox比例ハザードモデルを使用しました。朝食をスキップした男性は、スキップしなかった男性に比べて27%高い冠動脈疾患発症のリスクを有していました(95%信頼区間1.06〜1.53、相対リスク1.27)。夜遅くに食べない人に比し、夜遅くに食べる人は55%高い冠動脈疾患発症のリスクを有していました(95%信頼区間1.05〜2.29、相対リスク1.55)。これらの関連は、BMI(Body Mass Index)、高血圧、高コレステロール血症および糖尿病の影響を受けていました。食べる頻度(一日あたりの食べる回数)と冠動脈疾患の危険性との間には有意な関連は認められませんでした。

結論 
健康の専門家の男性のこのコホートでは、朝食を食べることは、冠動脈疾患のリスク低下と有意に関連していました。



個人的には、朝食食べて血糖が上がると、そのリバウンドで昼に空腹感が著しくなって、昼飯食べ過ぎて、夕方にまたリバウンドで空腹感が著しくなって・・・・と血糖上昇下降の悪循環に陥ると感じています(苦笑)。故に、朝食は食べても血糖をあまり上げない食事を少量とか、非炭水化物にしたらよいのかなと、あくまで個人的な印象。

2013年7月24日水曜日

アボカドの食べ方 布施メソッド(笑)

アボカド=Avocado。アボガドじゃありません。栄養満点の果物で「森のバター」と言われるほどに濃厚は味わいです。約20%は脂肪ですが、不飽和脂肪酸が主体ですので悪くありません。その他食物繊維が多く、ビタミンB1,2,Eも豊富です。

丸ごと食べていたら、驚かれたので、珍しいのでしょうか?布施メソッドを御紹介します(笑)。

とある日の昼食。トマトに、枝豆、アボカドです。



さて、アボカドは、程よい硬さで食べ頃です。




程よい硬さなので、爪でちょっと切れ込み入れると、手で皮が剥けます。




半分くらい剥いたら、ぱくっ。



食べ進んで行ったら、その都度少しづつ皮も剥きます。簡単に剥けます。


種がむき出しになってきました。
このままだと、これ以上食べにくいので、逆さにして、ティッシュー使って、種部分を持ちます。カリメロ風(笑)。



皮は容易に剥けます。




ずらがとれたみたい(笑)。




これで下半分も食べれます。ぱくっ。




ごちそうさまでした。あとは、種をティッシュにくるんで捨てるだけ。




1個は食べ過ぎですか(笑)? 腹持ち良いし、お勧めです。










総脂肪


「1960年代,70年代に施行されたいくつかの食事の研究において、脂肪摂取の割合が高い(%E)と冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)発症のリスクが上昇することが示唆されました。
しかし、その後の研究によると、総脂肪から摂取するエネルギーの割合は、冠動脈疾患のリスク増加には明らかな影響を与えないことが示されています。

総脂肪の摂取を低く抑えると、以下の変化を認めます。

- 血清総コレステロール値低下
- LDLコレステロール値低下
- HDLコレステロール値低下
- 中性脂肪値上昇

- 男性:総コレステロール対HDL-Cの比率(TC / HDL-C)は殆ど変化なし
- 女性:TC / HDL-Cは不変か僅かに悪化(上昇)

総脂肪の摂取率を下げるということは(%Eを下げる)、通常、炭水化物の摂取が増加することになります。もし、その炭水化物がよく精製されたものであったり繊維が少ない物であった場合、食後のグルコースインスリンホメオスタシスおよび関連応答に悪影響を及ぼすことがあります。

前向きコホート・臨床試験によると、総脂肪の摂取量が、冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)発症へ与える影響はごく僅かです。
Women’s Health Initiative (WHI) 臨床試験 (N = 48,835)では、総脂肪摂取量を 37.8から24.3%E(1年間)、28.8%E(6年間)に下げても、

- 冠動脈疾患発症(RR0.98、95%CI、0.98〜1.09)
- 脳卒中発症(RR1.02、95%CI、0.90〜1.15)
- 全ての心臓病と血管病の発症(RR0.98、95%CI、0.92〜1.05)

のいずれの頻度にも影響がありませんでした。

これらの「影響なし」という複数の研究結果に基づいて、各組織は以下の対応を施しています。

米国農務省(USDA), 米国心臓協会(AHA):勧告を総脂肪摂取量30%E未満に低減
世界保健機関(WHO)の2003年のレポート:「日々の脂肪摂取量と心臓血管疾患のリスク増加との直接の関連を示す証拠はない」と結論  」



最近流行の、糖質制限食にすることで脂質摂取の割合が相対的に高くなることがよく生じるわけですが、それが一概に悪いこととは言いきれないことが分かります。少なくとも悪影響は大きくないと解釈できそうです。炭水化物も、脂肪も、その「質」が重要なのでしょう。

2013年7月23日火曜日

グリセミックインデックス(GI)とグリセミックロード(GL)

「グリセミックインデックス(GI)は、食後血糖インスリンホメオスタシスへの影響の経験的尺度です。
炭水化物摂取後の血糖値の経時的増加の程度をグルコースと比して(グルコース GI=100)算出したものです。

精製されていない高繊維食品は、低GIの傾向があります。

でんぷん、精製された低繊維食品は、高GIの傾向があります。

高GI食品には、

コーンフレーク(GI= 81)
ジャガイモ(GI= 78)
白パン(GI= 75)
白米(GI= 73)

などがあります。

低GI食品には、

牛乳(GI= 39)
りんご(GI= 36)
レンズ豆(GI=32)
ナッツ類(GI= 24)

などがあります。

炭水化物の質と摂取量の双方を考慮した指標としてグリセミックロード(GL)があり、これはGI× g/serving (1パック、1摂食分という意味)として計算されます。
炭水化物の含有量が異なっている食品を比較するときに、この区別は重要です。例えば、ジャガイモ・シリアル・穀物に対して、果物・非デンプンの野菜などがその関係に当たります。

スイカと白米は、同程度のGI(それぞれ76と73)ですが、スイカのGLは白米のそれに比しはるかに低い(4.5対29)のです。
高GI・高GLの食品に比べて、低GI・低GL食品は、血糖、中性脂肪およびLDL-コレステロール値、そして恐らく、炎症、内皮機能、および線維素溶解性を改善します。

 短期の研究では、低GIの食事は満腹感を助長するものの、体重や肥満への長期的な影響は認めませんでした。
GIとGLが平均的に高い食事は冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)と糖尿病のリスク上昇と関連していることが、前向き研究で示されています。

長期間の研究において、GIとGLの心血管イベントに対する独立した影響は評価されていません。このことに関連する、未精製穀物と精製穀物の心臓血管病への効果はこの章ので後ほど議論の場があります。」

2013年7月21日日曜日

食物繊維


「食物繊維は、消化されにくい多糖類、デンプンやオリゴ糖、植物におけるリグニンから構成されています。

食物繊維は、心臓病・血管病の危険因子に対し好影響を与えていることが、臨床研究において示されています。

その危険因子とは、

- 中性脂肪
- LDLコレステロール
- 血糖値
- 血圧

などです。

例えば、高血圧患者が食物繊維をより多く摂取すると、収縮期血圧と拡張期血圧がそれぞれ6.0および4.2 mmHg低下します。残念ながら、長期的効果を確認した研究は施行されていません。

心筋梗塞の既往のある男性を対象に施されたDiet and Reinfarction Trialおいて、穀物繊維摂取を推奨しても、冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)発症に有意な影響を及ぼしませんでしたが、フォローアップは、2年間と短い期間に限られていました。


これとは対照的に、長期的な前向きコホート研究において、穀物やシリアル、果物による繊維の摂取は、冠動脈疾患の発症率低下と関連し、穀物やシリアルによる繊維摂取は糖尿病発症の頻度低下と関連していました。

健康へ有害な作用を及ぼす精製炭水化物を穀物繊維に置き換えることで、リスクを低減できるかもしれません。」

2013年7月20日土曜日

炭水化物

Braunwald抄読会笑。成書を確認することは大事と思います。地道にほーんの少しづつ読んでいます。ちりも積もれば、、、、。

今日は、炭水化物の総論的内容です。

「全ての炭水化物の消費量と冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)のリスクとの強い相関はありません。しかし、ある種の炭水化物の消費量は健康への影響を与える重要な因子となります。

これまで、以下のような炭水化物の分類がなされてきました。

・分類1:グルコース、フルクトース、ガラクトース、スクロース、ラクトース、ラクツロース

・分類2:デンプン、セルロース、ヘミセルロース、グリコーゲン

最近のエビデンスによると、これらのグループ分けは健康への影響が殆どないようです。


炭水化物を多く含んだ食品が如何に健康へ影響を及ぼすか、を決定する要因は、主に以下の3つです。

①食物繊維含量
②グリセミックインデックス(GI)とグリセミックロード(GL)
③精製の程度(すなわち、全粒穀物か精製された穀物)

食物繊維、低いGIとGL、そして全粒穀物は、特定の食品に混在している傾向があり、各々の独立した効果を個別に把握することは困難です。

とは言え、これらの炭水化物類が、グルコースーインスリンホメオスターシスおよびトリグリセリド(TG;中性脂肪)、内皮細胞および炎症性応答を含む様々な心血管代謝経路に影響を及ぼすことは明らかです。


食事直後のタイミングやインスリン抵抗性の高まっている状態において、それらの影響は特に大きくなります。」

2013年7月18日木曜日

硬い話

 「公衆衛生、政策、開業医、およびヘルスケアシステム各々のレベルにおいて栄養に関する知識を行動に移すことが不可欠です。
強力な薬剤、デバイス、および手技に関する研究と利益が、心臓血管病の予防・治療のための食事・生活習慣に焦点を当てることへの有益性を低下させてしまうことがよくあります。しかし、肥満、糖尿病、及び心臓血管病の世界的蔓延は、望ましくない食生活によるコスト増大を際立たせており、医療・政策の立場から栄養管理を重要視する状況になっています。
最も関連が深い食事要因の混乱、行動変容の方法の不確実性、食事を効果的にモニターするツールの必要性などにより、知識を行動に移す事が制限されています。
幸いなことに、研究は進歩し、これらの問題に取り組んできています。心血管の健康に最も関連性の高い食事要因を明らかにしたり、一貫性を示すことを試みてきています。また個人・集団の効果的な食事変化のために、科学的根拠に基づいた戦略を示してきています。更に、食事変化をモニターする上で許容できかつ実際的な目標を示しています。
公共、医療従事者、および政策立案者が栄養の重要性を強調することにより、心臓血管の健康を改善するための知識の整理と、推奨される食事の実践が促進されるはずです。」


よく分からない文章になってしまいました。
要は、社会全体で食の正しい知識を啓蒙・実践していくことが重要ということですね。

2013年7月17日水曜日

食事の影響

「近年、食事と心臓病・血管病の関連に関する知識は急速に進んでいます。
かつての質の低い研究や実験から導き出された推論は、最近のより質の高い研究から得られた確たるエビデンスに置き換えられてきています。質の高い研究とは、心筋梗塞や心臓による死亡をエンドポイントとした無作為試験や前向きコホート研究等です。エンドポイントを心筋梗塞や心臓死といった病気そのものに設定することで、生体への総合的な影響を明確にしており、それらは、多数のリスク因子(高血圧、血糖、インスリン濃度、脂質など)の研究結果にも裏付けられています。
異なったデザインの研究で得られた結論が合致した場合に、その結論は最も信頼できるものになります。
確立された危険因子、未知の危険因子、介在するメカニズム、結果及ぼす病態。
食事は、急性的にも慢性的にもそれらの複雑な体系に影響を与えます。」



ある種の炭水化物
特定の脂肪および脂肪酸
果物や野菜
全粒穀物やナッツ
魚介類
食物繊維
乳製品や肉
アルコールや他の飲料
ミネラル、抗酸化物質
フィトケミカル
エネルギーバランス
食事パターン
食品加工と前処置


血中脂質とアポリポタンパク
血圧
内皮機能
グルコースインスリンホメオスタシス
全身性炎症
血管接着
満腹と体重増加
心血行動態
血栓症および凝固
不整脈


慢性のアテローム性動脈硬化症
急性のプラーク破裂や心筋梗塞
突然心臓死
虚血性脳卒中
出血性脳卒中
糖尿病
太りすぎや肥満
鬱血性心不全
心房細動

2013年7月16日火曜日

Nutrition and Cardiovascular Disease

書きたい事がたくさんあるはずなのに、いざブログを立ち上げると何から書き始めてよいか、わかりませんし、難しいですね。
まずは、心臓病という視点からみた食事、栄養のスタンダードを見直してみることにしました。Braunwaldの「Heart Disease」という、心臓病の教科書の1冊とされている本の「CHAPTER 48 Nutrition and Cardiovascular Disease」をのんびり読んで行きます。

まずは、前書きから。

「喫煙と身体活動(運動)と共に、食事の習慣は 多くの心臓や血管の病気、代謝性疾患(糖尿病など)の原因、予防、治療の基礎に関係します。
それらの病気として、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)、脳卒中、2型糖尿病、ならびに心臓突然死、心房細動、心不全、および認知症などが挙げられます。
米国などの先進国においては、塩分やトランス脂肪酸の摂取量が多く、一方でオメガ3脂肪酸、果物、野菜の摂取量が少ない状態であり、このような状態は死亡や心臓や血管の病気による死亡の主な原因の1つとなっています。発展途上国では、肥満、糖尿病、心臓や血管の病気が急速に増加していますが、これも食事や他の生活行動の変化を通じて生じた生じた急速な社会的、環境的な変化の結果です。適切ではない食習慣により数々の病気が引き起こされています。様々な栄養素の有益性と有害性を良く知ることは、それらの病気を緩和し、好転させることもあるかもしれません。」

先進国も、発展途上国も、食生活、生活習慣で、病気になっているんですね。
原始人ダイエットなどが流行っていますが、納得できる部分は多々あります。

2013年7月11日木曜日

節酒後

こんにちは。

その日食べたものをざっくり入力するiPhoneアプリ。

カロリー算出されます。体重も入力します。
自分がどのくらい食べているのか、把握することは重要です。

上段が摂取カロリー。下段が体重です。


さて、2013年正月から節酒。恐らくはその影響が大きいと思うのですが、

体重が減りました。

まあ、それ以前から糖質制限等ダイエットしていましたので、減少傾向でしたが、

正月を境にその傾向が顕著になっています。

上乗せ減量効果もある、節酒。

「アルコールはエンプティカロリーで太りませーん」

との意見も耳にしますが、この推移を見ると、やっぱり太るように思えます。


そして、2013年節酒



飲酒は絶対に辞められないと思っていました。

中毒か、依存症か。。。。(苦笑)

年を食ってきて、時間に対する考え方が変わってきました。

カネより、時間。



そして、2013年新年、節酒宣言。

ノンアルコールビールを箱買いして、飲みたい気持ち、震える手(笑)

を抑え込んでいました。

Facebookに「節酒宣言」を公開したのも、よかったと思います。

今では、機会飲酒程度。

40代にして、ようやく、人並みの生活に復帰できた気分。



アルコール










まあ、毎日毎日、飲んでました。20年間。
ビール、日本酒、焼酎、ワイン、マッコリ・・・・。

美味しいし、楽しいし、飲酒のメリットは少なくありません。

少量にとどめておけばです。。。

しかしながら、飲み始めますと、抑制が効かなくなります、私の場合。(苦笑)。


大量になりますと、カロリー過剰摂取、糖質過剰摂取につながりますし、数々の「無駄」も生み出します。


       ① お金の無駄
       ② 飲酒最中の時間の無駄
       ③ 飲酒後は使い物にならない、時間の無駄
       ④ 翌日は二日酔いで時間の無駄
       ⑤ 意志が挫け易くなることによる能率低下

でも、辞められないよなー。って思っていました。