2013年10月12日土曜日

砂糖入り飲料 sugar-sweetened beverage (SSB)

砂糖入り飲料(SSB)摂取の肥満への影響が、数々の臨床研究のデータにより示唆されています。

米国において1965年から2002年の間、飲料から得るカロリーは、総摂取カロリーの11.8%から21.0%に増加し、222キロカロリー/人/日となりました。
SSB(ソーダとコーラだけでなく、加糖フルーツドリンク)は、この増加の60%を占め、アルコールは32%、100%フルーツジュースは9%でした。

平均的なアメリカ人の十代の少年や少女は、毎週、それぞれ、22杯、15杯の8オンス(1oz=28.3495g)のSSBを摂取しています。これらのほとんどは自宅での摂取です。

観察研究では、
SSB摂取量と肥満や体重増加との間に正の関連を認めています。

SSB消費削減の対照試験は、
ばらついた結果を示していますが、恐らく様々な介入の影響によるものと思われます。

短期の臨床研究
液体のカロリーは、満腹感が得られにくく、固形の食品と比べて消費カロリーの総量を増加させることが、 示唆されています。

 18ヶ月のダイエット試験の事後解析では、
液体のカロリーの減少が減量に最も強く関連していました。
毎日SSB1杯減らすことで0.65キロ以上の体重減少と関連していました。

コホート研究では、
SSBをより多く摂取することは、糖尿病とメタボリックシンドロームの発症率上昇の予測因子でした。
SSBの摂取はまた冠動脈疾患発症と関連しています。


2013年10月2日水曜日

コーヒーとお茶

カフェインのサプリメントは、

- 血圧上昇
- インスリン感受性悪化
- 耐糖能悪化

を来します。

でも、コーヒーにより同量のカフェインを摂取しても、その影響は少ないです。

他の要素により相殺されていることが示唆されます。


21の前向きコホートの結果では、

コーヒーの使用と冠動脈疾患のリスクとの間に有意な関連は示されていません。


コーヒーの頻回な摂取(毎日4杯以上)は糖尿病発症率低下と関連します。


が、この根拠は未だ確立されていません。


緑茶の摂取は

体重減量と体重維持に有用であることが示唆されています。

内皮機能、血圧、コレステロール値に対する効果は一貫していません。

お茶摂取と冠動脈疾患の観察研究は一貫性のある効果は示されていません。

お茶の頻回な摂取(毎日3杯以上)脳卒中と糖尿病の中等度リスク低下と関連します。


 観察研究が多く、またばらつきのある結果、生理学的な根拠が不明確、などにより、

現在のところ、コーヒーやお茶の心臓血管疾患への影響については決定的な結論はでていません。

2013年9月22日日曜日

アルコール

習慣的な大量飲酒は、多くの国で、非虚血性拡張型心筋症の原因の三分の一にまで達します。

心室機能障害は、飲酒を中止しても、しばしば不可逆的であり、飲酒を継続すると高い死亡率につながります。

常習的飲酒とどんちゃん騒ぎは心房細動のリスクを高める可能性があり、

時に「ホリデーハート症候群」と呼ばれます。

非飲酒者に比し、

定期的な中等度の飲酒、男性2ドリンク/日まで、女性1ドリンク/日まで、

は冠動脈疾患と糖尿病の発生率低下と関連しています。

 これらの観察研究では、健康不良のために禁酒した元飲酒者が非飲酒者に含まれているため、過大評価されているかもしれません。

 それにもかかわらず、一貫してリスク低下が観察されることは、対照試験におけるアルコールのHDL-Cおよびインスリン抵抗性への好影響と、適度なアルコール摂取の僅かながらの心血管代謝への好影響によるものと思われます。

ドリンクの種類間(例えば、ワイン、ビール、お酒)での有意な相違は認められませんが、飲酒パターンは重要で、不規則な飲酒やどんちゃん騒ぎの飲酒よりも、定期的に適度な量を飲む人にお最大の利点が認められます。

アルコール関連の事故、殺人、自殺の頻度が、特に若い成人で高いため、アルコール使用は、総合的には人口の死亡率に悪影響を及ぼします。
したがって、心臓血管疾患リスクを軽減するための手段としてはお勧めできませんが、すでに飲酒している大人は、心血管リスクの観点から適度に継続することは悪くありません。

2013年9月18日水曜日

乳製品



「乳製品の生物学的影響はまだ良くわかっていません。

牛乳や乳製品を摂取すると

糞便内の脂肪分は増加しますが、

満腹感と体重減少への影響は一貫性がありません。

DASH(高血圧を停止する栄養アプローチ)の食事パターンは低脂肪乳製品を含みます。

- 血圧
- 脂質レベル
- インスリン抵抗性
- 内皮機能

を改善しますが、乳製品の単独の効果については不明です。

長期観察研究では

乳製品の消費は、

- 冠動脈疾患
- 脳卒中
- 糖尿病
- メタボリックシンドローム

のリスク低下と関連しています。

全体的に、乳製品は心血管リスクへ好影響を及ぼしているようですが、

具体的な活性成分は確立されていません。

カルシウムおよびリノール酸は、潜在的なメディエーターとして挙げられていますが、

それぞれの実験的研究は、危険因子に殆どあるいは全く影響を示してません。




全脂肪の乳製品に対する低脂肪の乳製品の異なる効果も不明です。

低脂肪の乳製品は、現在、低い飽和脂肪酸と低カロリーにより推奨されていますが、

そのメリットは、生理活性脂肪酸への関連に限られるのであれば、全脂肪乳製品が同等か、より有益です。

低脂肪乳と全脂肪乳を直接比較した研究は殆どありません。

 45人の若い健康なボランティアの試験では8週間毎日3.5杯の低脂肪または全脂肪乳製品(牛乳、ヨーグルト)を摂取したところ、

血圧に対しては同様の効果が見られましたが、

全脂肪乳製品群が1.2キロ以上の体重増加を認めました。

特定乳製品(例えば、牛乳、チーズ、バター)の影響は、さらに調査が必要です

例えば、3つの対照試験では、チーズが同量のバターと比較し、

総コレステロール、LDLコレステロールの上昇をより少なく抑えていました。 」

2013年9月17日火曜日

「SFA(飽和脂肪酸)とコレステロールが含有しているため、

肉の消費は、心血管リスクを高める

と考えられています。

肉食の総量と冠動脈疾患・糖尿病発症との関係は、様々ですが、

有意ではないながら概ねリスクを高める傾向にあります。

 肉の種類で個別に評価されている場合、

未処理の赤肉ではなく、

加工肉の摂取は一貫して心血管疾患と糖尿病のリスクを上昇させます。


これらの知見は、肉の種類により、心疾患への影響が異なっていることを示唆しています。

- 様々な防腐剤の使用(例えば、ナトリウム、ニトリル)
- 製造方法(例えば、フライ、商業調理)
- 特定の脂肪酸やヘム鉄といった成分

などと関連しているのかもしれません。

肉の摂取と脳卒中の関連を報告した研究は殆どなく、結論は出ていません。」

2013年9月16日月曜日

「魚摂取量と心血管疾患イベントの関連は、他のどの食材より多くの前向きコホート研究で報告されています。

心血管疾患死亡に対しての有効性が最も強く、

週1回の摂取で15%、

週2〜4回で23%、

週5回以上で38%リスクが低下します。

 栄養素として不飽和脂肪、セレン、及びビタミンDが含まれていますが、心血管疾患による死亡の予防には、主に魚中のn-3 PUFAが関連していると思われます。


米国、欧州、中国、日本の16の前向きコホートのプール解析では、 

魚から250mg /日のEPAとDHAを摂取することが、冠動脈疾患による死亡率の36%低下と関連していました。



また、5つの大規模な無作為化比較試験のうち4つで、魚や魚油の摂取により冠動脈疾患イベントの減少を示していました。


魚の消費が

非致死的心筋梗塞
虚血性脳卒中
心房細動

のリスク低下とも関連していますが、比較対照試験では、まだこれらの利点は確立していません。


魚の摂取は、高頻度の糖尿病診断のと関連していました(1回/月未満と比し、5回以上/週で22%高い)。

n-3 PUFAは肝遺伝子(例えば、PPAR-α、SREBP-1)を調節してグルコースの生成を高め、高インスリン血症を減少させます。末梢のインスリン抵抗性や代謝障害を引き起こすことはありません。

魚やn-3系PUFAは、他の代謝性リスク(例えば、中性脂肪、血圧、炎症)を改善します。

消費された魚の種類や調製方法は血中EPAとDHAのレベルや心血管疾患への効果に影響を与えますが、油で揚げていない魚(dark meat)からの利益が最大で、他の種よりも10倍以上のn-3 PUFAが含まれています。

 いくつかの魚種におけるメチル水銀の冠動脈疾患への影響のエビデンスは限られており、議論の余地があります。副作用が発生した場合、魚摂取の冠動脈疾患への有効性を減ずるかもしれません。」

2013年9月12日木曜日

豆類


「豆類の心血管疾患への影響は十分には明らかになっていません。

大豆食品の試験では、

収縮期血圧 -5.8mmHg

拡張期血圧   -4.0mmHg

と、有意ではありませんが各々、低下する傾向を示しました。


抽出された大豆タンパクやイソフラボン(植物性エストロゲン)の効果はより小さく、

LDLコレステロール -3%

拡張期血圧      -2mmHg

の僅かな効果にとどまっています。

豆類は、

- 微量栄養素

- ファイトケミカル(植物化学物質)

- 繊維

を含んでおり、これらは心血管疾患や糖尿病を軽減させているかもしれません。

この仮説は、比較介入試験や長期コホートにおいてさらなる評価が必要です」