2013年8月31日土曜日

全粒穀物と精製穀物

「全粒穀物は、

- 胚乳
- ふすま
- 胚芽

が含まれます。

精製穀物は、それらが除かれ、概ねデンプン質胚乳(複合糖質)となります。


ふすまは、以下を含みます。

- 繊維
- ビタミンB群
- ミネラル
- フラボノイド
- トコフェロール

胚芽は、以下を含みます。

- 数多くの抗酸化物質
- ファイトケミカル(植物化学物質)



全粒穀物の摂取は一貫して冠動脈疾患、糖尿病のリスクを低下と関連し、おそらく脳卒中とも関連しています。
全粒穀物の摂取はグルコース-インスリン恒常性、内皮機能、およびおそらく体重減少および炎症を改善することが示されています。
全粒の燕麦は、LDL-Cを低下させます。

どの単一栄養素がこのメリットをもたらしているのかは明らかではありません。複数の成分の相乗効果かもしれません。

精製穀物食品(例えば、白パン、白米)は心血管疾患発症との関連を認めていませんが、冠動脈疾患のリスク、糖尿病のリスク上昇と関連しています。

このリスク上昇が、全粒穀物、果物、野菜の相対的減少によるものか、または、食後血糖インスリン、内皮および炎症反応の悪影響に関連しているかどうか、不明です。

全粒穀物、果物、野菜に置き換え、精製穀物摂取の頻度と1回量を制限するのが賢明と思われます。」

2013年8月24日土曜日

果物・野菜



果物と野菜の摂取は、一貫して冠動脈疾患発症率低下と関連しています。

果物の摂取は脳卒中のリスク低下と関連し、

果物の食物繊維は糖尿病発症低下と関連しています。

2年間継続された対照試験では、

果物と野菜の摂取を推奨した食生活が、以下の心血管リスク因子を改善しました。

- 血圧
- 脂質レベル
- インスリン抵抗性
- 炎症
- 肥満
- 内皮機能

複数の試験では、果物や野菜の摂取の利点は、同量のカリウム・マグネシウムおよび食物繊維のサプリメントで賄うことはできませんでした。

食事の主要栄養素(脂肪、タンパク質、ま炭水化物)にも依存しないものでした。

 果物・野菜の効果が、不健康な食事の代わりというだけでなく、

微量栄養素、ファイトケミカル、食物繊維が複雑に統合されてもたらされていることが示唆されました。

これらの研究は、果物や野菜の摂取が心臓血管疾患のリスクを下げる、という説得力のある証拠を示しています。

特定の果物や野菜の有効性、100%のジュースの有効性に関しては、さらなる研究が必要です。」


最近は、フルーツの大動脈瘤予防効果の論文が出てましたねー。

http://circ.ahajournals.org/content/128/8/795.full

2013年8月23日金曜日

タンパク質


短期的な試験では、

炭水化物の代わりに、タンパク質を摂取すると、

- 血圧
- 中性脂肪
- LDLコレステロール
- 血糖

が改善します。




 安定した体重下では、

不飽和脂肪酸の代わりに高タンパク質を摂取すると、

HDLコレステロール

が低下します。



総タンパク摂取と冠動脈疾患のイベントとの関連を報告している前向きコホート試験は殆どなく、

明確な結果は出ていません。



いくつかの研究で、

動物性タンパクではなく植物性タンパクが冠動脈疾患リスクの低下と関連が示されています。

タンパク質自体よりも、食品全体や食事パターン全体が、より関連性が高い可能性が示唆されています。


4つのコホート研究では、

動物性タンパク質の摂取と出血性脳卒中のリスク低減の関連が示されましたが、この関連についてはさらなる研究が必要です。

2013年8月18日日曜日

食事性コレステロール

「食事性コレステロール

食事でコレステロールを摂取することにより、LDLコレステロールとHDLコレステロールの両方が上昇します。
コレステロール100mgを摂取することにより、総コレステロール対HDL-C比(TC/HDL-C)が0.02 上昇します。

動物実験では、

食事性コレステロールは、アテローム形成を促します。

長期の前向き研究では、

食事性コレステロール或いは具体的食材(例えば、卵、甲殻類)と心臓血管疾患リスクの有意な関連は示唆されませんでした。

一方で、より高いコレステロール、卵、甲殻類の摂取は、
5つのコホート研究で、

高い糖尿病発症率と関連することが示唆されています。

3つのコホート研究

糖尿病患者において心臓血管疾患リスク上昇と関連することが示唆されています。


食事性コレステロール、糖尿病の感受性、心臓血管疾患の間の強い相互作用の存在が示唆され、更なる研究が必要です。」

2013年8月17日土曜日

トランス脂肪酸(TFA)

「トランス脂肪酸(TFA)

TFAはトランス型の二重結合を少なくとも1つ有する不飽和脂肪です。

焼き菓子、揚げ物食品、スナック菓子、家庭料理用ショートニングなど、水素が添加された油で作られた食品に含まれます。

反芻動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ)の肉やミルクにも、腸内微生物によって少量のTFAが含まれています。
水素が添加されたTFAと比較して、反芻動物由来の低レベルのTFA(<0 .5="" span="">

 大量のTFA摂取は、脂質代謝に明らかに悪影響を及ぼし、以下のような変化を認めます。

- LDLコレステロール上昇
- 中性脂肪上昇
- リポタンパク(a)上昇
- HDLコレステロール 低下
- 総コレステロール / HDコレステロール(TC/HDL-C)比 上昇
- アポB/AI比 上昇

対照試験において、SFA、MUFAあるいはPUFAの代わりにTFAを1%E摂取することで、以下の変化を認めます。

- TC/HDL-C比:各々0.031、0.054、0.67 上昇
- アポB:各々3.5、10.0、10.9mg/L 上昇
- リポ蛋白(a):各々3.8, 1.4, 1.1 mg/L上昇
- アポA-I: 各々7.0, 5.3, 5.3mg/L 低下


対照試験、観察研究、動物実験の結果に基づくと、

TFAは、以下を助長する可能性があります。

- 炎症
- 内皮機能不全
- インスリン抵抗性
- 内臓脂肪
- 不整脈

 これらの脂質以外への影響についてのエビデンスの強さにばらつきはありますが、関与する経路は、脂肪細胞の機能不全とインスリン抵抗性に及ぼす影響の範疇であることが示唆されています。

前向きコホートでは、

少量のTFA摂取(例えば、2%E)が、冠動脈疾患と突然死のリスク上昇と関連していました。

 数多くのTFAが存在し、由来となる食事や生物学や生理学的効果が様々です。 18 - 炭素TFA、特にトランス18:2異性体が最も悪影響が強いことが示唆されています。」

2013年8月16日金曜日

エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)

「エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)

比較対照試験は、以下において、海産物由来ののn-3 PUFAの明確な効果を実証しています。

- 心拍数
- 血圧
- 中性脂肪レベル
- 心室拡張能と効率性
- 炎症反応
- 内皮機能
- 自律神経機能
- 尿蛋白

 植込み型除細動器(ICD)患者における再発性心室性不整脈の予防に関する試験では明らかな有効性は示されていません。

 観察研究と臨床試験のメタ分析では、長鎖n-3系PUFAは、冠動脈疾患イベント(心筋梗塞や狭心症)、特に致命的イベント・不整脈死を減らすことが、一貫して示されています。
それは、犬と霊長類モデルの虚血誘発性心室細動の予防実験もデータとも一致してします。

5つの大規模ランダム化比較試験のうち4つで、魚や魚油の摂取が冠動脈疾患イベントの有意な減少を示しています。

無作為化試験のメタ分析では、魚油サプリメントは総死亡率を17%減少(RR, 0.83; 95% CI, 0.68 to 1.00; P = 0.046)させたました。これらの試験の対象は概ね高リスク患者であり、虚血性不整脈の低リスク患者においてはその総死亡率低減への有効性はより低いかもしれません。

冠動脈死予防の用量と効果の関係は非線形であるように見え、EPAとDHAの総量約250mg/ 日で十分な効果が得られ、それ以上は効果が減少します。

 観察研究では、以下のようなエンドポイントで有効性が示唆されています。

- 非致死的心筋梗塞
- 虚血性脳卒中
- 心房細動


しかし、介入試験では、これらの効果は確立されていません。

スタチンにより加療されている高コレステロール血症の日本人18645人を対象とした無作為化オープンラベル試験では、 EPA製剤の追加(1.8 g /日を4.6年間)することで、非致死的冠動脈イベントが19%減少(P = 0.01)しました。

ほとんどの研究は、EPAとDHAを合計摂取量を評価しています。

EPAとDHAの独立した効果に関してはデータが不十分です。」

2013年8月14日水曜日

α-リノレン酸(ALA)


α-リノレン酸 ALPHA-LINOLEIC ACID

αリノール酸?とは言わないのだろうか?


「いくつかの対照試験では、

ALA摂取は、

- 血小板機能
- 炎症、内皮機能
- 動脈コンプライアンス

を介して、心臓血管疾患のリスクマーカーに好影響を与えています。
14の試験のメタ解析では、フィブリノゲンと空腹時血糖値の改善を認めました。

このような効果が、ALAまたはその長鎖代謝産物(例えば、EPA)によって直接引き起こされているかどうかは不明です。

生態学的研究では、

n-3 PUFA摂取量が低い集団において、ALA摂取増量の利点が示唆されています。

前向きコホートでは、

ALA摂取と冠動脈疾患発症の間の有意な関連は認めず、まちまちな結果を示しています。


1960年代の試験ではALAの補充と冠動脈疾患発症イベントの有意な関連を認めませんでしたが、フォローアップは、1年間に限定されていました。


冠動脈疾患発症におけるALA摂取の影響を調べた試験は現在いくつかの試験が計画中、または進行中ですが、これまでには他に報告はありません。

ALAがn-3 PUFAの供給源として摂取可能で安価であるため、その効果をよりよく理解することが重要です。」

2013年8月6日火曜日

多価不飽和脂肪酸(PUFAs)

多価不飽和脂肪酸

食餌のPUFAsは、
n-6 PUFA: - リノール酸(LA; 18:2 n-6); 植物油由来
n-3 PUFA: - αリノール酸(ALA; 18:3n-3) ; 植物由来(例 亜麻仁,キャノーラ,クルミ,大豆)
       - エイコサペンタエン酸(EPA, 20:5n-3) ;魚介類由来
                - ドコサヘキサエン酸 (DHA; 22:6n-3) ; 魚介類由来

LAとALAは、人体では生成することができない必須脂肪酸です。
EPAやDHAも人体では殆ど生成できませんので、魚介類摂食が主な供給源となります。 
n-3系脂肪酸とn-6の比で表現されることがしばしばありますが、これらの食事に含有する脂肪の消費量の絶対値に比較して健康への影響の有用な測定基準とはなっていません。



リノール酸(LINOLEIC ACID; LA)


LAは、典型的には90%以上食物のPUFAにより摂取されます。

炭水化物と比較して、LAはは以下の作用があります。

- LDLコレステロール低下
- 中性脂肪低下
- HDLコレステロール上昇
- TC/HDLコレステロール 改善

他の冠動脈疾患リスクマーカーへの影響はあまり確立されていません。
いくつかの試験では、LAは、抗炎症作用やインスリン抵抗性改善作用を有していることが示唆されていますが、報告は様々です。

11のコホート研究の解析では、
SFAの代わりにPUFAを多く摂取すると、
➡ 冠動脈疾患発症のリスクが有意に低下します (5%E毎, RR = 0.87, 95% CI = 0.77 to 0.97).

炭水化物の代わりにPUFAを摂取すると、
➡  冠動脈疾患リスクが低下します 

炭水化物の代わりにPUFA或はLAを摂取すると(ランダム化試験のメタアナリシス)
➡ 観察研究の結果と同様、冠動脈疾患の減少させました。


炭水化物やMUFAsの代わりにPUFAを摂取することで冠動脈疾患発症のリスクを低下させるかどうかを調べた研究は施行されていません。

全体的に言えば、SFAまたは炭水化物の代わりに、PUFAまたはLAを摂取することで、冠動脈疾患リスクを低下します。

2013年8月3日土曜日

一価不飽和脂肪酸(MUFAs)

一価不飽和脂肪酸(MUFAs)

「動物性脂肪と植物油(例えば、オリーブ油やキャノーラ油)はMUFAsの主要な原料であり、多くがオレイン酸(18:1n-9)です。

炭水化物に比し、MUFA摂取は

- LDL-コレステロール 低下
- 中性脂肪 低下
- HDL-コレステロール 上昇
- 血圧 低下

させます。

SFAに比し、MUFA摂取は

- 中性脂肪 変化なし
- HDL-コレステロール 変化なし 
- LDL-コレステロール 低下
- リポ蛋白質(a) 上昇

させます。

MUFAsとPUFAを比較した試験は殆どありません。
炭水化物の代わりに摂取した場合、MUFAsはPUFAsに比し、

- HDLコレステロールを僅かに上昇
- LDLコレステロールと中性脂肪を僅かに低下
- TC/HDL比の改善は概ね同程度です。


糖尿病とMUFAs:報告は様々

- 4つの大規模な前向きコホート:MUFA摂取と糖尿病発症の間には関連は認められませんでした。

冠動脈疾患発症とMUFAs:前向き試験は比較的少なく、報告は様々
- 11のコホートからプールされた解析
同カロリーのSFAの代替としてMUFAを摂取することは、冠動脈疾患のリスク上昇と関連していました(各5%E、RR = 1.19, 95%CI= 1.00〜1.42 )。

- ヒト以外の霊長類では、SFAとMUFAの摂取では、共に同様にアテローム形成が認められました。

- 冠動脈疾患発症とMUFAの関連性を検証した無作為化比較試験は施行されていません。

- 動物実験
MUFAsはLDL-C粒子組成物を変化させ、コレステリルオレイン酸含有量を増加させ、アテロームを増加させることが示唆されています。

これにより、なぜMUFAsがLDL-C濃度を低下させ、TC / HDL-C比を改善させますが、冠動脈疾患のリスクを低下させないかを説明することができます。

- 観察研究とランダム化試験
地中海型食事の一部としてオリーブオイルによりMUFAs含む食事パターンは、冠動脈疾患の危険因子を改善させ、冠動脈疾患イベントを軽減させることが示されています。
 それらの利点が、MUFAs自体の効果か、オリーブオイルの他の組成(例;エキストラバージンオリーブオイルのポリフェノール)の効果か、または地中海型食事パターンの他の要因の効果からもたらされたのかどうかは不明です。」

MUFAは、一概に良いとは言えないんですね。

2013年8月1日木曜日

脂肪酸と糖尿病、血圧、脳卒中


インスリン抵抗性を有する患者に対し、


6つの対照試験で、飽和脂肪酸(SFA)とその代替となる栄養素のグルコースインスリンホメオスターシスへの影響を評価しました。

- SFAを一価不飽和脂肪酸(MUFAs)に変更した場合にグルコースインスリンバイオマーカーの改善を認めました。(5研究中3つ)
- SFAを多価不飽和脂肪酸(PUFAs)に変更した場合に、同改善を認めました。(3研究中1つ)
- SFAを炭水化物に変更した 場合に、同改善を認めました。(1研究)
- SFAをトランス脂肪酸(TFAs)に変更した場合、改善しませんでした。(2研究)

一般健常者に対し、


4つの対照試験で、同様の影響を評価しました。


- SFAをMUFAsに変更した場合に改善を認めました。(4研究中1つ)
- SFAを炭水化物に変更した場合に、同改善を認めました。(2研究中1つ)
- SFAをPUFAs或はTFAsに変更した場合、改善を認めませんでした。(1研究)

これらの混沌とした知見からは、グルコースインスリン代謝に及ぼす食餌性脂肪の影響に関し、確たる結論が得られませんでした。
その中でも最も信頼し得ることは、


インスリン抵抗性を有する患者において、SFAをMUFAsに変更したときに大きな改善を認める

ということです。



観察研究において、

血中または組織SFAバイオマーカーはインスリン抵抗性と関連がありますが、内因性のSFAレベルは、SFAと炭水化物の摂取の双方により増加し、脂肪分解、脂質生成、及びβ酸化によっても影響を受けました。

WHI試験において、

SFAの摂取量を減らしても、HOMA-IRまたは糖尿病発症に影響はありませんでした。

食物中の脂肪と糖尿病発症を評価した4つの大規模な前向きコホートにおいて、

SFAまたはMUFA摂取と糖尿病の間に独立した関連は認められませんでした。



対照的に、4つのコホート全てにおいて、


PUFA、植物油、および/またはSFA摂取に対するPUFAの比は、糖尿病発症を抑制する傾向を認めました。

これらの結果は、冠動脈疾患に対する関係と同様に、糖尿病に対する保護効果が、PUFAに認められることを示します。


血圧や脳卒中に対するSFAの影響のエビデンスは限られています。
いくつかのコホートでは、SFAをより多く摂取することで、脳卒中のリスク(全脳卒中、虚血性、出血性) が低下することが観察されています。
動物性脂肪やタンパク質の他の栄養素との関わり、独立性に関し、さらなる研究が必要です。」




かなりざっくり言うと、

飽和脂肪酸(SFA)より不飽和脂肪酸(PUFA,MUFA)は糖尿病にいいかもしれない。

でも、飽和脂肪酸(SFA)で脳卒中リスクが低下するかもしれない。