「
インスリン抵抗性を有する患者に対し、
6つの対照試験で、飽和脂肪酸(SFA)とその代替となる栄養素のグルコースインスリンホメオスターシスへの影響を評価しました。
- SFAを一価不飽和脂肪酸(MUFAs)に変更した場合にグルコースインスリンバイオマーカーの改善を認めました。(5研究中3つ)
- SFAを多価不飽和脂肪酸(PUFAs)に変更した場合に、同改善を認めました。(3研究中1つ)
- SFAを炭水化物に変更した 場合に、同改善を認めました。(1研究)
- SFAをトランス脂肪酸(TFAs)に変更した場合、改善しませんでした。(2研究)
一般健常者に対し、
4つの対照試験で、同様の影響を評価しました。
- SFAをMUFAsに変更した場合に改善を認めました。(4研究中1つ)
- SFAを炭水化物に変更した場合に、同改善を認めました。(2研究中1つ)
- SFAをPUFAs或はTFAsに変更した場合、改善を認めませんでした。(1研究)
これらの混沌とした知見からは、グルコースインスリン代謝に及ぼす食餌性脂肪の影響に関し、確たる結論が得られませんでした。
その中でも最も信頼し得ることは、
インスリン抵抗性を有する患者において、SFAをMUFAsに変更したときに大きな改善を認める
ということです。
観察研究において、
血中または組織SFAバイオマーカーはインスリン抵抗性と関連がありますが、内因性のSFAレベルは、SFAと炭水化物の摂取の双方により増加し、脂肪分解、脂質生成、及びβ酸化によっても影響を受けました。
WHI試験において、
SFAの摂取量を減らしても、HOMA-IRまたは糖尿病発症に影響はありませんでした。
食物中の脂肪と糖尿病発症を評価した4つの大規模な前向きコホートにおいて、
SFAまたはMUFA摂取と糖尿病の間に独立した関連は認められませんでした。
対照的に、4つのコホート全てにおいて、
PUFA、植物油、および/またはSFA摂取に対するPUFAの比は、糖尿病発症を抑制する傾向を認めました。
これらの結果は、冠動脈疾患に対する関係と同様に、糖尿病に対する保護効果が、PUFAに認められることを示します。
血圧や脳卒中に対するSFAの影響のエビデンスは限られています。
いくつかのコホートでは、SFAをより多く摂取することで、脳卒中のリスク(全脳卒中、虚血性、出血性) が低下することが観察されています。
動物性脂肪やタンパク質の他の栄養素との関わり、独立性に関し、さらなる研究が必要です。」
かなりざっくり言うと、
飽和脂肪酸(SFA)より不飽和脂肪酸(PUFA,MUFA)は糖尿病にいいかもしれない。
でも、飽和脂肪酸(SFA)で脳卒中リスクが低下するかもしれない。
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