2013年7月24日水曜日

総脂肪


「1960年代,70年代に施行されたいくつかの食事の研究において、脂肪摂取の割合が高い(%E)と冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)発症のリスクが上昇することが示唆されました。
しかし、その後の研究によると、総脂肪から摂取するエネルギーの割合は、冠動脈疾患のリスク増加には明らかな影響を与えないことが示されています。

総脂肪の摂取を低く抑えると、以下の変化を認めます。

- 血清総コレステロール値低下
- LDLコレステロール値低下
- HDLコレステロール値低下
- 中性脂肪値上昇

- 男性:総コレステロール対HDL-Cの比率(TC / HDL-C)は殆ど変化なし
- 女性:TC / HDL-Cは不変か僅かに悪化(上昇)

総脂肪の摂取率を下げるということは(%Eを下げる)、通常、炭水化物の摂取が増加することになります。もし、その炭水化物がよく精製されたものであったり繊維が少ない物であった場合、食後のグルコースインスリンホメオスタシスおよび関連応答に悪影響を及ぼすことがあります。

前向きコホート・臨床試験によると、総脂肪の摂取量が、冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)発症へ与える影響はごく僅かです。
Women’s Health Initiative (WHI) 臨床試験 (N = 48,835)では、総脂肪摂取量を 37.8から24.3%E(1年間)、28.8%E(6年間)に下げても、

- 冠動脈疾患発症(RR0.98、95%CI、0.98〜1.09)
- 脳卒中発症(RR1.02、95%CI、0.90〜1.15)
- 全ての心臓病と血管病の発症(RR0.98、95%CI、0.92〜1.05)

のいずれの頻度にも影響がありませんでした。

これらの「影響なし」という複数の研究結果に基づいて、各組織は以下の対応を施しています。

米国農務省(USDA), 米国心臓協会(AHA):勧告を総脂肪摂取量30%E未満に低減
世界保健機関(WHO)の2003年のレポート:「日々の脂肪摂取量と心臓血管疾患のリスク増加との直接の関連を示す証拠はない」と結論  」



最近流行の、糖質制限食にすることで脂質摂取の割合が相対的に高くなることがよく生じるわけですが、それが一概に悪いこととは言いきれないことが分かります。少なくとも悪影響は大きくないと解釈できそうです。炭水化物も、脂肪も、その「質」が重要なのでしょう。

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